90年代から「深い関係」にあった ソニーと日産がリチウムイオン電池撤退
90年代から「深い関係」にあった
追いつけ追い越せで、世界中で競争していた家電業界だが、どうも目的地を失っているようだ。次のチェツクポイントを見つけることができれば地図が完成するが・・
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最近、「次世代のクルマ」といえば、自動運転やライドシェアリングが話題の中心だ。
一方で、EV(電気自動車)については、テスラやアップルの自動運転車の「構造の一部」として取り上げられる程度に止まっている。EVが「次世代のクルマ」の話題の中心だった5~6年前と比べて、社会の状況は大きく変わった。
この2事案には直接的な関係はないのだが、実は、2社はEV向けのリチウムイオン二次電池において「深い関係」にある。
EVだけでなく、携帯電話など日常生活で欠かせない最新型の電池であるリチウムイオン電池。その原理は欧米で発明され、その後に大学などで基礎研究が進んだが、商品として大量生産したのは、日本のソニーが最初だ。EVだけでなく、携帯電話など日常生活で欠かせない最新型の電池であるリチウムイオン電池。その原理は欧米で発明され、その後に大学などで基礎研究が進んだが、商品として大量生産したのは、日本のソニーが最初だ。筆者は、ソニーのリチウムイオン電池開発の初期段階で重要なポジションにいた人物と交流があったが、彼の言葉を借りると、開発当時は「試練の連続」だったという。量産化に踏み切ってからも、試練は続く。日産の小型EV「ハイパーミニ」向けに世界初の車載用リチウムイオン二次電池を提供したが、電池の性能を安定化させるための努力は「甚大だった」と語る。
また「ハイパーミニ」の企画者も筆者の知り合いなのだが、当時の日産社内では「EVは時期尚早」という声が主流であるなか、ソニーとの協業を含めてかなり強引に事が進んだようだ。その背景には、新しいクルマの発想をできるだけ早く具現化させたいという、彼自身のエンジニアとしての夢があった。
韓国LG化学が入念な市場調査
EV事業の世界的な再編を睨む
実は、筆者の著書が韓国語版で発刊されている。その内容を見て、EV事業に詳しい日本人ジャーナリストのひとりとして、筆者が彼らのインタビュー対象のリストに載ったという。
要件は、EV事業の世界的な再編に関する意見交換だ。筆者のコメントを、同社が社内外に向けて作成している技術広報誌及びウェブサイトに公開するというものだ。
インタビューを通じて、筆者とLG化学側は、「今後のEV戦略は、米ZEV(ゼロ・エミッション・ヴィークル)規制より、中国のNEV(ニュー・エネルギー・ヴィークル)政策の影響が大きくなる」という点で一致した。一方、彼らがあまり指摘しなかったのが、「EV・自動運転・ライドシェアリング」が三位一体として普及する際の「サービス事業」についてだ。今回のインタビューの趣旨が「製造」寄りだったこともあるが、筆者は、製造からサービスまでの「一括体制」のなかで、EVの製造コストを考慮するべきだと主張した。
EVは「ドンガラ」化に最適
電池再編でクルマもPC同様に!?
また、モーターや二次電池など、EVの構成部品は商品としての差別化が難しく、自動車メーカーとしての「個性がなくなる」というのも、業界の「定説」である。
そしていま、日産がこの手法を諦めた。
では、これからどうなるのか?例えば、クルマは技術的な商品としての個性が減り、製造者は「ドンガラ」、つまりかろうじて差別化が可能なボディ周りだけを作るという、現在のパソコン産業のようなイメージになり、そして「ドンガラ」が自動運転やライドシェアに活用されていく…。