LINE上場で“1兆円企業”入りも課題は深刻な人材不足
LINE上場で“1兆円企業”入りも課題は深刻な人材不足
セキュリティーなどを強化しつつ、更なる成長を世界から求められるLINEだが、飽きやすいエンドユーザーを相手に新たなサービスを提供できるのか?
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メッセンジャーアプリ国内最大手のLINEが15日、東証1部に上場を果たした。初値は公開価格の3300円を48.4%上回る4900円、初値での時価総額は1兆円を超え今年最大の新規株式公開(IPO)となった。
同社は14日、ニューヨーク証券取引所でも公募価格を上回る初値を記録しており、日米同時上場は順調な滑り出しとなった。
上場の理由について同社代表取締役社長の出澤剛氏は「透明性・信頼性の向上」と「成長への投資」の2点を挙げる。調達した資金はインドネシアなどトップシェアではない国におけるユーザー獲得や、LINEがあらゆるサービスやビジネスの入り口になるスマートポータル戦略のパートナー開拓、人工知能(AI)やデータ分析などの開発や技術への投資に用いられる。
ただ、同様にメッセンジャーアプリを展開する米フェイスブックや中国のテンセントなど、世界のライバルたちは、スマートフォンの爆発的普及期に一気に先行してシェアを獲得している。スマホ市場の成長が鈍化する中、ライバルの背中は遠い。
「メッセンジャーアプリの世界における陣取り合戦はほぼ終わった。この状況の中で新しい国に展開しても成功確率は低い」と出澤社長は出遅れを認めた上で、シェアの大きい日本、台湾、タイ、インドネシアの「主要4ヵ国」にターゲットを絞ってサービスを展開していく方針だ。
またメッセンジャーアプリを核にゲームや音楽、ショッピングやタクシーなどライフスタイルの基盤となる「スマートポータル戦略」を今後も促進していくことを強調。スマートポータルはまず主要4ヵ国で基盤を固め、通信環境の整備やデータプランに対する許容度が大きくなり次第、アジアを中心とした海外展開も視野に入れる。
- 新たな稼ぎ頭を生み出せるか
LINEのスマートポータルと同様の試みとしては、NTTドコモの推進する「スマートライフ事業」や楽天の「楽天経済圏」が挙げられる。だが両者に共通するのは稼ぎ頭の柱となる確固たる事業を有すること。ドコモの通信事業は営業収益の約82%を占める3兆6898億円、楽天のEC事業は約40%を占める2846億円だ(共に2015年度決算)。
一方でLINEの15年12月期の売上高は、ゲームなどのコンテンツ事業が約41%(492億8400万円)を占めているが、同社は水物で当たり外れの大きいゲームではなく、安定した収益が見込める広告へと今後の事業の柱をシフトしていく考えだ。
しかし、国内にはインターネット広告費全体の3割近くを稼ぐガリバー企業のヤフーが君臨し、海外のタイやインドネシアは広告市場自体が未成熟で収益が日本と比べものにならないくらい小さい。広告モデルだけで市場の期待する成長を遂げるのは困難であり、新たな収益の核となる事業の構築が急務となる。
LINEの新規事業は同社で史上最年少役員となった稲垣あゆみ氏がトップを務める企画室が担当する。しかし社内からは事業企画をつかさどる人材の不足を嘆く声も漏れ伝わる。
「3年ほど前からLINEでは第二新卒を中心に大量の若手を積極的に採用してきました。しかし彼らが当初思い描いていたようには育たなかった。事業を自ら作り育て上げられるだけの人材が社内には圧倒的に不足しており、現在は中堅からベテランで実績のある候補者を再び社外で探している状況です」(同社社員)。
社員の中にはストックオプションを土産に転職や起業を考える者も現れ始めており、こうした人材の流出が成長のエンジンとなる事業を生み出す足かせとなる可能性も拭いきれない。
日米同時上場によって「フェイスブックやグーグルと同じ土俵に立つ」(出澤社長)ことになったLINE。だが上場はあくまでスタートラインにすぎない。加熱する市場の期待に応えるだけのパフォーマンスを今後発揮できるのか、その道のりは決して平坦ではない。